運動の種類と効果
運動には様々な種類があり、運動の種類によって効果も異なります。運動は身体機能の向上のみではなく、ストレスの発散や生活習慣病予防、もの忘れにもよい効果が得られるといわれています。高齢者にも運動の種類や強度に注意して行えば、基礎代謝の向上、筋肉の強化を図ることができます。
運動を行うと、血流の改善、食欲がわく、腸の働きがよくなる、気分がよくなるなどの効果が得られます。ウォーキングやプール運動は、心肺機能の向上が得られ、ウォーキングは骨が丈夫になる効果も得られます。筋力トレーニングやバランス訓練は筋肉量が増え、筋力を強化できます。ストレッチングは筋肉の柔軟性が促され関節の動きが滑らかとなります。
高齢者になぜ運動が必要?
加齢によって筋肉量、筋力、身体機能の低下がみられることをサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)といいます。また、「筋力の低下、活動量の低下、歩行速度の低下、易疲労性、体重減少」のうち、3つ以上該当する場合をフレイルといいます。
高齢者ではサルコペニアや骨・筋肉・関節(運動器)の障害がみられると、容易に歩行能力やバランス能力の低下、筋力低下へと結びつき、フレイルとなりやすくなります。フレイルは介護が必要となる前段階であり、転倒のリスクや死亡率が高まりやすく、移動能力やADLが低下しやすい状態であり、健康に生活できる健康寿命が短くなる状態です。
その反面フレイルは、回復できる力が残っている状態で、適切な運動やリハビリテーション、食事療法や薬物療法を行うことにより、健康な状態へと回復することが可能な状態でもあります。そのため、高齢期には適切な運動を行い、筋肉量の増大や筋力強化、歩行能力やADL、身体機能の向上を図ることはサルコペニアやフレイルを予防し、高齢者の健康寿命を延ばすことにつながるのです。
また、呼吸器疾患や心血管疾患、抑うつ症状、運動器疾患はフレイルと合併しやすいことがいわれています。生活習慣病はサルコペニアやフレイルの危険因子となることもいわれています。運動は心肺機能が高まる、爽快感や達成感を得られる、骨を丈夫にする、生活習慣病の予防効果もあり、フレイルと関連のある疾患の予防ともなります。